Book Impressions 【犯人のいない殺人の夜】 東野圭吾

作品名:犯人のいない殺人の夜

著者:東野圭吾

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1990年に単行本として刊行され、1994年に文庫化された。

光文社から刊行された短編推理小説

 

「小さな故意の物語」「闇の中の二人」「踊り子」「エンドレス・ナイト」「白い凶器」「さよならコーチ」「犯人のいない殺人の夜」の7作の短編小説が描かれている。

ちょっとした空き時間に読むのに丁度いい。

 

 

「小さな故意の物語」 

親友が死んだ。枯れ葉のように 校舎の屋上からひらひら落ちて。刑事たちが自殺の可能性を考えていることは俺にもわかった。しかし親友の達也が自殺すると信じられない良は独自に謎を解明していく。その末、達也が死ぬきっかけとなった当事者の「故意」が明らかになっていく。高校を舞台にした好短編小説。

 「闇の中の二人」

 中学教師の永井弘美が担任を務めるクラスの生徒萩原信二の生後3か月の弟がベビーベッドで殺された。事件は盗み目的で萩原家に外部から犯人が侵入して行われたと捜査された。しかし、それでは数々の謎が残った。やがて信二と向き合ってきた弘美は事件の真相を知ることになる。

 「踊り子」

中学生の孝志は水曜の塾の帰りにお嬢様学校で有名な女子高の体育館で新体操の練習をしている女子高生に一目ぼれをした。彼女の姿をみることが孝志の水曜の楽しみになり、そのうちに差し入れをしてアプローチをはじめる。しかし、ある時から彼女は姿を見せなくなった。彼女が姿を見せなくなったきっかけとは…。        

「エンドレス・ナイト」

東京に住む田村厚子には大阪に単身赴任している夫の洋一がいる。ある日、大阪府警の刑事から夫が殺害されたと連絡を受ける。大阪人はお金にがめつい・大阪弁も嫌いと大阪を毛嫌いしていた厚子は、夫の死を受け大阪にいくこととなる。刑事と共に大阪の街並みをまわることで事件の真相が明らかになっていく。

「白い凶器」

会社内で課長が窓から転落死した。様々な要因から自殺の線は薄いと判断された。捜査が難航するなか、今度は係長が交通事故で死亡するという第二の事件が発生する。体内からは睡眠薬が検出され、2つの事件の関係性を調べていくこととなった。犯人の思いがけない犯行動機とは…。

「さよならコーチ」

ある企業のアーチェリー部の選手・望月直美が自殺した。現場には遺書の代わりとして自らを撮影したビデオメッセージが残っていた。しかし、これにはある仕掛けがされていた。彼女の死に隠された真相とは…。

「犯人のいない殺人の夜」

岸田創介は著名な建築家である。ある夜、岸田創介の家で安藤由紀子という女性が殺害される。偶然居合わせた家庭教師の拓也は事件を隠蔽したいという岸田の頼みを受ける。拓也が隠蔽工作の主導権を握り完全犯罪を実現しようと試みるが由紀子の兄に疑いをかけられ一同はピンチに…。事件の結末はいかに…。

 

物語はすべて殺人のあった「夜」とその後の「今」の回想を交互に描かれ進んでいく。

 犯人がいないのに殺人があった!?でも犯人はいる…。さまざまな欲望が交錯した一夜の殺人事件を描いた表題作など、人間心理のドラマと、ミステリーの醍醐味を味わう傑作七編!

 

 

犯人のいない殺人の夜 (光文社文庫)

犯人のいない殺人の夜 (光文社文庫)