Book Impressions 【悪意】 東野圭吾

作品名:悪意

著者:東野圭吾 

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1996年9月に株式会社双葉社より、単行本として、

2000年1月に講談社ノベルスとして刊行された。

 

人気作家・日高邦彦が仕事場で殺された。第一発見者は、妻の理恵と被害者の幼なじみである野々口修。犯行現場に赴いた刑事・加賀恭一郎の推理、逮捕された犯人が決して語らない動機とは。

人はなぜ、人を殺すのか。超一流のフー&ホワイダニットによってミステリの本質を深く掘り下げた東野文学の最高峰。 

 

感想

 

ストーリーは、それぞれの見解を手記・記録形式で描いた形で進んでいく。

通常は主人公目線でストーリーが展開されていくが、

この作品では主人公のほかに、周囲の人目線の見解も描かれている。

そこが、なかなか新鮮で面白い。

この作品の面白さはもう一つあり、犯人は小説の前半でわかる。

多くの小説は、だれが犯人なのかクライマックスまでわからず、読み手はその犯人を独自に推理しながら読み進めていく。

しかし「悪意」では、前半に犯人がわかるため、読み手は犯人探しをするのではなく、犯人の”動機”を推理する。

これは、人間性・感情の変化・過去等から読み取っていくので大変奥が深い。

 

 作品を読んでいると、何度も騙され困惑させられる。

ミステリー小説等を読むときは、「だれが犯人なのか」「犯人の動機はなんなのか」と無意識に自分で推理をしながら読むのだが、その考えを何度もとことん裏切られる。

それが悔しくとも、面白いところなのだが。

まんまと筆者のかけた罠にハマリ、無意識の思い込みをする。

 

自らの日常生活においても、相手の言動・行動によって、人は無意識に操作されているのかと思うと、なんだか可笑しくなった。

 

 

悪意 (講談社文庫)

悪意 (講談社文庫)